カントン包茎とは ― むけないのではなく、“むけたあと”が危険
カントン包茎(かんとんほうけい)は、包皮をむいたときに亀頭の根元で皮がきつく締めつけて戻らなくなる状態をいいます。
「むけない」というよりは、「むいたあとに戻せなくなる」というのが正確な表現です。
見た目としては、亀頭の根元に皮がリング状に食い込むように締めつけられ、腫れ上がったように見えるのが特徴です。
この状態になると血流が悪くなり、亀頭がどんどん腫れ、強い痛みを感じます。
放置してしまうと、血の流れが止まって亀頭が壊死してしまう危険もあり、医学的には“緊急の処置が必要”な状態とされています。
真性包茎との違い ―「むけない」と「むけたあとに戻らない」は別物
カントン包茎とよく混同されるのが「真性包茎(しんせいほうけい)」です。
どちらも“むけない”ことで悩む男性が多いのですが、実は状態がまったく異なります。
真性包茎は、包皮の口が生まれつき狭く、どんなときでも亀頭を露出できないタイプです。
無理にむこうとすると痛みや出血があり、物理的に皮が開かない状態です。
一方のカントン包茎は、むけるけれど、そのあと皮が戻らなくなるのが特徴です。
つまり、真性包茎は「最初からむけない」、カントン包茎は「むけたあとが危険」という違いがあります。
どちらも清潔を保ちにくく、炎症やにおいの原因になりますが、
特にカントン包茎は血流障害を起こす恐れがあるため、より緊急性の高い状態といえます。
カントン包茎は自然に治るのか ― 残念ながら自然治癒はほとんどない
「時間が経てば皮が柔らかくなって自然に治るのでは?」
そう考える男性もいますが、残念ながらカントン包茎が自然に治ることはほとんどありません。
むしろ、無理に皮をむいたり戻そうとすることで、症状を悪化させてしまうケースが多いです。
締めつけによって血流が止まると、亀頭が腫れて皮がさらに戻らなくなります。
その結果、痛みや出血が強まり、最悪の場合は壊死に至ることもあります。
特に入浴中や性行為のときに「少しむけた」と思っても、
そのあと皮が根元で引っかかって戻らなくなることがあるため、無理に触らず早めに医療機関を受診することが大切です。
放置するとどうなる? ― 「痛み」だけで済まない危険性
カントン包茎を放置すると、想像以上に深刻なトラブルを引き起こすことがあります。
最初は軽い痛みや違和感でも、次第に腫れがひどくなり、皮が元に戻らなくなります。
締めつけが続くと血流が悪くなり、亀頭が紫色に変わってしまうこともあります。
これは血液が通っていないサインで、放っておくと**壊死(えし)**につながる非常に危険な状態です。
さらに、炎症が起きると細菌が繁殖し、強いかゆみや膿が出たり、
排尿がしづらくなるなどの感染症・排尿障害を引き起こす可能性もあります。
カントン包茎は、決して「そのうち治る」ものではなく、
時間が経つほど危険が増す症状であることを理解しておく必要があります。
治療法 ― 痛みを抑えて安全に治す方法
症状が軽い場合は、医師が腫れを抑えながら安全に皮を戻す処置をしてくれます。
痛みがあるときは麻酔や冷却を行いながら対応してもらえるため、自分で無理に触るよりはるかに安全です。
しかし、一度でもカントン包茎を起こした人は、再発しやすい傾向があります。
そのため、根本的な解決を望む場合は、包茎手術による治療が推奨されます。
手術は局所麻酔で行われ、30分〜1時間ほどで完了します。
入院の必要はなく、数日で日常生活に戻ることができます。
また、カントン包茎や真性包茎のように「医学的に必要な治療」と判断される場合は、
保険適用で手術を受けられることもあります。
自然には治らないからこそ、早めの相談を
カントン包茎は、むけないというよりも、むいたあとに皮が戻らなくなる危険な状態です。
真性包茎とは原因が異なり、カントン包茎は特に血流障害を起こすおそれがあります。
自然に治ることはほとんどなく、放置すれば痛みや炎症、さらには壊死に発展する可能性もあります。
「恥ずかしい」「相談しづらい」と思う気持ちは自然なことです。
しかし、泌尿器科の医師に相談すれば、短時間で安全に治療できるケースがほとんどです。
大切なのは、無理に自分でどうにかしようとしないこと。
少しでも「皮がむけない」「戻らない」と感じたら、早めの受診が最善の選択です。

